→ 明るい

おとつい
あなたが落ちた家の玄関
袂で糸を引くのがわたしの見栄で
先に進むために打撃を受けた体を無理に起こした彼は
ナイキの靴を履いて空回りするノブを回して出て行った。
足音と共にノブの回転音が鳴りやまないわたしの夜は
道路で走っている車よりも早く、それか攻撃的になにかに向かっていかなきゃいけない気がして
台所のステンレスをじっと見ながらコーヒー飲みたいな、と考えていた。
無駄に買ったインスタントコーヒーには、ミニマムな男たちがたくさん住んでいて
わたしはそれをお湯に注いで自分のものにする癖がある。
やかんの音には耳に悪い成分が入っているらしいとわたしはきいたような気がする。

ゆっくりで
ゆっくり
そっと置いて
グビっと飲み干す

喉がやけどしちゃいました。
声に出したらドアから聞こえる音が発酵して少しいい成分になったみたいで
昨日夜更かしした部屋は寝不足もあって居眠りをしはじめた。