ソロユニット"とりととら"の主宰・玉邑の日々
2009.09.15
→ ん
こう曲がらないかなっと彼女は言う。
彼女の身体は不自由で昔から肘があまり曲がらない。
くの字がうまくいかないときに無理やり曲げようとすれば、途中で折れた。
骨折やら打撲やらをたくさんしても彼女は曲げたいから、間違えないようにそれを繰り返す。
「私たちの「思い出せない」を運んでくれるのが嬉しいのよ」
と言う彼女が嬉しそうで、
近づく前に見えなくなる陽炎がすごくいい加減に
「お前にそんなことわかるものか」
と言った。
陽炎が体を持たない理由は、力がないから。
水や空気がバラバラになった状態が嬉しくて好きだ。
車でそれをもっと轢いてバラバラにしてほしい。
ガソリンがなくなるまで繰り返し、轢いてほしい。
粉になってサラサラした粉のようなバラバラが、そう言ってたのを思い出して実際やってみた。
結局、陽炎もボウフラみたいに湧いて死ぬだけなんだろう。
川辺で遊んだことを思い出した。
何歳の時か季節はいつかわからない。
ただその時に川の縁まで近づいてワクワクした。
彼女は昔、腰も曲がらなかったので、川の縁に近づいて覗くとき体ごと前のめりにならなければならなかった。
昔の彼女は、ようするに、棒みたいな、硬くて折ると戻らないものだった。
治るってことはなくてずっと折れたままだからそれを利用してなんだか柔らかくなったような気が彼女はした。
痛いという感覚がない分、怖いと思うことはあるけれど、そんなことどうでもよかった。彼女にしてみれば、自分が自分自身に近づける方法はそれしかなかったからだ。
いつか、川から落ちた気がした日があった。
特別、服も濡れていないから、自分の勘違いだと思ったが、そのうちなんだか本当のような気がしてきて服を何度も触ってみた。それでも濡れていないので、もしかしたら時間が経って乾いただけなんじゃないかっと思った。そういう感覚が一週間ほど続いた。
今、考えると川に落ちたことがないのに、落ちたと勘違いすることが不思議で、それは多分周りが、体に近づいてくれれば起こったことなんだろうけれど、実際そんなことはありえない。ありえないから私は、折る練習をし続ける。
声を
それでもその粉をボウヘラ(?)か何かでかき集めてコンクリートにしようと彼女がいうので彼は嬉しくなって協力した。
彼女の身体は不自由で昔から肘があまり曲がらない。
くの字がうまくいかないときに無理やり曲げようとすれば、途中で折れた。
骨折やら打撲やらをたくさんしても彼女は曲げたいから、間違えないようにそれを繰り返す。
「私たちの「思い出せない」を運んでくれるのが嬉しいのよ」
と言う彼女が嬉しそうで、
近づく前に見えなくなる陽炎がすごくいい加減に
「お前にそんなことわかるものか」
と言った。
陽炎が体を持たない理由は、力がないから。
水や空気がバラバラになった状態が嬉しくて好きだ。
車でそれをもっと轢いてバラバラにしてほしい。
ガソリンがなくなるまで繰り返し、轢いてほしい。
粉になってサラサラした粉のようなバラバラが、そう言ってたのを思い出して実際やってみた。
結局、陽炎もボウフラみたいに湧いて死ぬだけなんだろう。
川辺で遊んだことを思い出した。
何歳の時か季節はいつかわからない。
ただその時に川の縁まで近づいてワクワクした。
彼女は昔、腰も曲がらなかったので、川の縁に近づいて覗くとき体ごと前のめりにならなければならなかった。
昔の彼女は、ようするに、棒みたいな、硬くて折ると戻らないものだった。
治るってことはなくてずっと折れたままだからそれを利用してなんだか柔らかくなったような気が彼女はした。
痛いという感覚がない分、怖いと思うことはあるけれど、そんなことどうでもよかった。彼女にしてみれば、自分が自分自身に近づける方法はそれしかなかったからだ。
いつか、川から落ちた気がした日があった。
特別、服も濡れていないから、自分の勘違いだと思ったが、そのうちなんだか本当のような気がしてきて服を何度も触ってみた。それでも濡れていないので、もしかしたら時間が経って乾いただけなんじゃないかっと思った。そういう感覚が一週間ほど続いた。
今、考えると川に落ちたことがないのに、落ちたと勘違いすることが不思議で、それは多分周りが、体に近づいてくれれば起こったことなんだろうけれど、実際そんなことはありえない。ありえないから私は、折る練習をし続ける。
声を
それでもその粉をボウヘラ(?)か何かでかき集めてコンクリートにしようと彼女がいうので彼は嬉しくなって協力した。
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